愛しのイスラエル

エレミヤ書3章6~13節  牧師 綿引久美子

「涙の預言者」と呼ばれたエレミヤの預言。神様を裏切った民を捨てきれず、再び戻ってくることに力を尽くす神様の憐みと忍耐、そして愛してやまない民に対する心中が託されています。

1.姉イスラエルと妹ユダ(2節)
 神様の決断した避けることのできない取り扱い(国の滅亡)を神の民とされてきた二分した民族が、姉妹にたとえられ預言されています。姉イスラエルは「北イスラエル」、そして妹ユダは「南ユダ」。神様を夫とする婚姻関係にたとえられた中で、夫を裏切り数々の不貞を重ねてきたことを、エレミヤを通して神様は語っています。そして、先に、北イスラエルは、夫である神様より、離縁状を渡され追い出されます。それを目の当たりにした妹ユダですが、悔い改めることはなく、さらに悪事は増していきます。そして、夫である神様は、妹ユダにも離縁状を渡す決心をします。

2.帰っておいで、姉イスラエルよ(12節)
 ここで神様は、驚くべき行動を起こすことをエレミヤに託して語ります。『背信の女イスラエルよ、立ち帰れ』(12節)そもそも神の律法では姦淫を犯した妻を再びめとる事は出来ません。なぜなら、「汚れている」からです。しかし、神様は律法を愛によって超越して、姦淫を犯した妻イスラエルの夫となる(新改訳14節引用)というのです。この3章では『立ち帰る』ことを示す言葉が、12回も使われています。『立ち帰る』ことは神様のもとに再び戻ることです。これこそが、神様の心の中心にあるイスラエルに対する思いです。「愛しのイスラエル」神様の呼ぶ声が聴こえるようです。

3.愛しのイスラエル,愛しのユダ(13の冒頭,22節)
 神様は、先に離縁状を渡した北イスラエルとの再婚をと伝えます。しかし、条件があります。『悔い改める』ことです。多くの神々を断ち切って、唯一の神様を主として一からやり直すことです。それはこの後離縁状を渡される妹ユダにとって、復縁が約束された離縁となるのです。エレミヤの預言を受け取れたらの話ですが。
 神様と私という個人的な関係の中で、主を信頼して生きることで命が守られ主が共にあってすべてを守ってくださるという約束があります。しかし、その一方で、自分の罪ゆえに、どうしても厳しい取り扱いを受けてリセットしなければいけない場合もあります。このどちらも、神様が愛してやまない民に向けてしました愛であることを私たちは、心に留めたいです。
あなたは神様にとって愛しのイスラエル。神様が離れることは絶対にないのです。