何のために走り回る

ハガイ書1章1~11節  牧師 鈴木光

今年度の主題聖句があるハガイ書を、何度かにわけてこの一年で読んでいきます。

1.この民は…
 ハガイ書は一度滅んだ神殿を再建する出来事が背景にあります。国が滅び、捕囚されていたイスラエルの人々が、再び祖国に戻り再建を始めます。しかし、神殿の再建は周辺民族に妨害されて長らく中止していました。そんな中で預言者ハガイが神様からの言葉を預かって民に伝えます。「この民は、『まだ、主の神殿を再建する時は来ていない』と言っている(2節)」人々は、自分たちの生活を優先して、まだその時ではないと言って、神様との関係をずっと後回しにしてきました。
 現在の私たちにとって、神殿とは私たち自身です(cf.Ⅰコリント6:19)。神殿の再建とは、いわば神様との関係をもう一度建て直していくことです。
 今はまだ、と言って神様と向き合うことを後回しにしていませんか、と語られています。

2.自分の歩む道に心を留めよ
 「お前たちは、自分の歩む道に心を留めよ(4節、6節)」と主は言われます。
 人々は神殿を廃墟にしたまま、自分の家を建てることを優先しました。いわば、神様との関係は荒れ果てても、自分の生活の豊かさを優先する姿です。自分の生活を荒らして神様に仕えよと言っているのではありません。かつて神殿を建てたソロモンは、まず神殿を建てますが、同時に自分の王宮も建てました。神様との関係を「優先」して、同時に自分の生活も建てます。自分の生活だけを優先しても、満たされることがありません。しかし、まず神様との関係が建て上げられていくと、不思議と生活も祝福を受けます。

3.山に登り、木を切り出せ
 だから「山に登り、木を切り出して、神殿を建てよ(8節)」と言われます。それは、山に登り、木を切り出すように、自分で意志をもって努力することが必要です。その時に、神様はそのことを喜び、主の栄光を見ることができると言います。私たちは何のために走り回るのでしょうか(9節)。朽ちることのない価値のあるもののために走りましょう。

<思い巡らし>
後回しにしてませんか/まず神様との関係を優先/意志をもって向き合う