命の道と死の道

エレミヤ書21章1~14節  牧師 鈴木光

エレミヤをとおして、主が語られるメッセージを私たちも受け取りましょう。

1.最期の王ゼデキヤ
エレミヤ書は時系列順に並んで語られているわけではないので、この後で前後することはありますが、ここで初めて最後の王となるゼデキヤが登場します。ゼデキヤの元の名前はマタンヤですが、ユダ王国を支配下に置いたバビロン王によって改名されました。つまり、彼は大国の下に置かれた王でした。王位について9年目にゼデキヤは調子に乗って反旗を翻し、バビロン王のネブカドネザル率いる軍に都エルサレムを包囲され、2年半後に陥落しました。ゼデキヤは悲惨な罰を受け、バビロン捕囚となります。
そんなネブカドネザルに包囲された直後の時期のことでしょう。ゼデキヤ王は遣いを出してエレミヤに神様へお伺いをたてて欲しいと願います。今まで悔い改めるようにと警告し続けてきたエレミヤを散々叩いておきながら、図々しくやってきた彼らですが、やはりその言葉の端々に、神様を困った時の便利道具のように考えている様子がにじみ出ています(1~2節)。神様との関係が壊れた人間の末路です。

2.この都は滅びる
そんな王たちにエレミヤをとおして神様はハッキリと「この都」は滅びると宣言します。注目すべきはエルサレムを「この都」と言って、神殿があり、神様とユダヤの人々との関係の象徴として呼んでいることです。さらに、その滅びを神様はご自身の意志によって行うと言います(3~10節)。冷たいのではなく、放っておいて滅びるに任せればよいものを、最後までご自分との関係において彼らを扱おうとする熱情と言っていいほどの神様の思いが表れています。

3.命の道と死の道
しかし都を滅ぼすと宣言しながらもなお、神様はユダヤの人々への憐れみと忍耐を続けます。「わたしたちはお前たちの前に命の道と死の道を置く(8節)」と言い、正しいことを行って「わたしが…怒りを発することのないように(12節)」せよと人々に命を与えるチャンスを与え続けるのです。
しかも、その言葉は「ダビデの家よ」と言って、やがて来るイエス様につながる約束として語られています。旧約の終わりを告げると同時に私たちへの新しい約束を与えておられるのです。命の道のイエスキリストを迎えましょう。

<思い巡らし>
主はあなたと共に歩むのが願いです/命の道は主イエスにあります