アウェイなホームに帰る

ルカによる福音書8章26~39節  牧師 鈴木光

イエス様と弟子たちが湖の反対側、異邦人の土地に行くと…

1.名もなき男とレギオン
そこでイエス様を迎えたのは悪霊にとりつかれた男でした。彼は長い間、衣服も身につけず、墓場に住みついていました。鎖につながれても引きちぎってしまう彼は人々の手に負えない存在だったようです。
イエス様が「名は何というか」と聞くと、「レギオン」と答えがありました(30節)。それはこの男性ではなく、とりついた悪霊の言葉です。レギオンはローマの軍隊の単位で、数千人規模の兵士の集まりです。つまり、彼は名前を奪われ、多くの悪霊に完全に支配され人生を失っていたのです。
悪霊は私たち人を神様から引き離そうとする存在です。時に私たちの人生を奪い、支配することさえあると警告されているのです。一方で、悪霊はイエス様の前にひれ伏し、恐れます。ですからおびえる必要はありません。主により頼んで守られるようにと聖書は言います(エフェソ6:10~12)。

2.恐れる人々
悪霊から救われた男性の出来事を見聞きした人々は皆、恐れにとりつかれました。
そして、感謝するどころかイエス様に出て行ってほしいと言いました(34~37節)。人はしるしを求めるものですが、実際に神様の不思議な御業を見るとかえって恐れ、目を伏せて拒もうとするところがあるものです。
イエス様はその反応も特に責める様子はありません。むしろ素直にその地域を去ろうとします。イエス様はどこまでも人の意志を大切にします。そして、自分で選んでイエス様に応答することを大切にする方です。

3.アウェイなホームに帰る
癒された男性はイエス様について行きたいと言います。ところが、イエス様は「自分の家に帰りなさい。そして、神があなたになさったことをことごとく話して聞かせなさい(39節)」と言われます。自分を厄介者として、イエス様も追い出そうとしている自分の町に戻るのは大変そうです。しかし、イエス様はそれを彼に求めます。それどころか、イエス様の去る町でイエス様のなさったことを伝える役割を彼にゆだねるのです。彼はこの後、実際にそれを行い。多くの町でイエス様の福音が告げ知らされていきました。今日、私たちにも同じ言葉が語られています。

<思い巡らし>
悪霊に注意、でも恐れず/イエス様を迎えよう/証ししよう