小さな種

マタイによる福音書13章31~35節 

イエス様は、弟子たちと群衆に向けて、天の国を「からし種とパン種」にたとえてお話されます。

1.からし種について(31,32節)

イエス様は、非常に小さいものを「からし種」にたとえて話されました。「からし種一粒の信仰」(同17:20)という御言葉は良く知られています。私たちの内に「神様を信じ、私の主とする」との想いがからし種一粒ほどあるならば、神様は、天国行きの切符と、からし種の大木のような信仰を育んでくださることを、イエス様は教えてくださいました。その大木のような信仰は、あなたの内に神の国(神様のご支配される所)を与えられるのです。それは、あなた自身を変え、鳥が巣を作るほどの安らぎのある、隣人に神の愛を与える者へと育てていきます。

2.パン種について(33節)

パン種は、旧約の時代、聖なるものから除かれていました。祭儀では、パン種のないパンが献げられ、聖なるものと定められています。その汚れのイメージのあるパン種を、天の国のたとえにするのは不思議な気がします。パン種は、酵母菌という真菌の、糖の分解によって発生するガスがパンを膨らまします。パン種の特性(性質)によって、パンの香りと食感はできるのです。あなたの内に神の国があるならば、神の愛の御性質と、神の香りのする人となることがわかります。

3.隠された警告(34,35節)

イエス様は、このたとえの前に「毒麦」のたとえを話されました。ここには、隠された奥義があります。「からし種とパン種」に共通して言えるのは、水が無ければ、大きくならないということです。聖書は神様の霊を「水」にたとえます。神様がそこにおられるから、からし種は大きくなり、パン種は膨らむのです。

また、パン種は、パンに使う酵母菌だからあの香りを放ち、膨らみます。違う種類の真菌には、腐敗させる菌も存在します。菌は目で見ることはできません。菌を生やしてみて、結果を見なければ、腐らすのか、香ばしいパンを作るのかわかりません。神様は、神の国を教えつつ、パン種に対する警告を毒麦と合わせて隠しつつ教えているのです。