最後の呼びかけ

      マルコによる福音書14章10~21節  

 

 十字架の前日、イスカリオテのユダがイエス様を裏切ります。しかし、ユダは裏切るように決められていたわけではありません。ユダは「裏切り」を選んでいきました。そして、イエス様はユダがその罪から立ち返ることができるようにと、何度も言葉と行動を通して呼びかけていました。

 

1.裏切りを選んだユダ

 イエス様が十字架で私たちの罪の身代わりとなることは、確かに神様の計画でした。しかし、実際に十字架にかける力を持った祭司長たちが、タイミングをみはからっていたにも関わらず(14:1~2)、ユダはわざわざ「祭司長たちのところへ出かけて(10節)」行ってイエス様を売り渡す約束をしてきました。

2.何度も呼びかけるイエス様

 イエス様は過越祭の食事の準備について、神様の御業だとわかるようなやり方で弟子たちにさせました(12~17節)。ユダもそのことを見ていたはずです。しかし、ユダは主なる神様としてのイエス様の姿を受けとめませんでした。

 さらに、その食事の席でイエス様はよりハッキリと、二度にわたってユダが裏切ろうとしていることをご自分が知っていることを示されました(18~21節)。最後の呼びかけにいたっては、ほとんど名指しで(「わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者」とまで限定して)、裏切って罪を犯してしまうのは「生まれなかった方がよかった」というほど不幸なことなのだ、と伝えています。

 それでも、ユダは呼びかけを振り払うようにして、裏切ることを最後まで選んでいきます。私たちを造られた主は、私たちを愛するものとして、徹底して自由を与え、ご自身を裏切ることさえできるものとされました。しかし、主の願いはもちろん背くことではなく、向き合うことであり、主の愛を受け取ることです。

3.呼びかけに答えて

 ユダはほかならぬ「わたしたち」の姿です。確かに私たちは良くないことを選んでしまう弱さがあります。しかし、イエス様は何度でもあなたに呼びかけています。そして、十字架にまでかかられました。

<思い巡らしてみましょう>

 ユダの姿に重なる自分はありますか。主の呼びかけに応えましょう